説明しきれない仏様?神様?

この前、とある仏画の表装をご依頼いただいたときのことです。

当店では、裂地選びの参考に本紙の内容をお調べすることから始めます。そのときにお預かりした仏画には、逆立った髪・忿怒の相・額に牛の頭をつけ・両手には 斧と羂索 (縄のようなもの)を持っているといった特徴を持つ仏様でした。

はじめは、明王様かなと調べるものの、それらしい方に見当たらず、荒神様かなと調べるが惜しくも見当たらず、さてどうしたものかと思っていると、本紙の仏様と一緒に9人の人物が描かれていることにピンときたのです。

そこで9人が描かれていることをヒントに調べるとすぐにヒットし、本紙の仏様は、「牛頭天王(ごずてんのう)」という仏様でした。

この仏様は、あらゆるお姿を持つ方で神様であるともいえます。

まず、平家物語で有名な祇園精舎の守り神。そして本地仏(神様の正体とされる仏様)である薬師如来。帝釈天。インドの神様インドラ。陰陽道における天道神。などなど世界をまたぎ多くのお姿を持っておられます。

中でも、有名なのが神道におけるスサノオノミコトです。この神様は、八坂神社をはじめ全国でご祭神になっている神社があります。 高野山周辺にも八坂神社があります。結構身近に祀られている神様ではないでしょうか。

なぜ、こんなにたくさんのお姿を持っておられるのかは、はっきりしません。ただひとつ言えるのは、ほぼすべてのお姿の神格に、とても暴力的な面を持っておられ、無碍に扱うことはしないほうがよいかということです。

元々は、疫病神とされていたようですが、厚く信仰することにより全く逆の厄災を除いてくれる神様になられます。また、スサノオノミコトと習合されたことにより五穀豊穣・子孫繁栄といったご利益もあるようです。

どの神様仏様をお祭りする場合にもいえることですが、雑に扱うことは決して相成らぬということですね。牛頭天王に関しては特にそう言えるかと。今回、表装をお仕立て替えされたお客様のところには、きっとご利益があることでしょう。

ちなみに牛頭天王の奥さんは 善女龍王というお方とされており、このお方はお大師さん( 弘法大師 )とのご縁が深く、私かってに身近に感じております。

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