この前、覆輪をつける作業を行いました。表具において覆輪とは、本紙や裂地の断面、縁を和紙で細く覆うように縁取りすることです。巻物の上下に覆輪をつけることがよくあります。
掛け軸の場合、両端に当たる所は裂地を折り返してあるので、裂地がほつれてくることはありませんが巻物の場合、裂地が切りっぱなしとなるので覆輪をつけることで裂地のほつれを予防することができます。
この覆輪で使われている和紙は薬袋紙と呼ばれるものを使用しております。薬袋紙は文字のとおり元々は薬を包むために使われていました。
薬袋紙の色は、本来はヤマモモの樹皮から染料を採り、染めていたそうです。ヤマモモの樹皮は楊梅皮と呼ばれる漢方になっているようです。この染料にはタンニンを多く含むそうで、前回書いた柿渋に近いもののように思います。現在は薬を包むという本来の需要は少なく、表装で使われることが多いです。
この色の覆輪がワンポイントになって、いい感じと思いませんか?