今年は少し早い桜の開花も過ぎ、高野山は新緑のお山へと移りつつあります。
今回は襖の周りに付く縁(ふち)の中でも一般的な塗りの縁について
一般的に、襖縁には黒色の塗り縁が使われます。黒色の塗り縁は、和室の中で引き戸や襖を引き立たせ、美しい和の空間を演出します。また、黒色は汚れが目立ちにくく、日本の風土に合った色とされています。
高級な襖縁には、ウルシ塗りが使われることがあります。ウルシ塗りは、ウルシの樹液を加工して作られる天然の塗料で、美しい光沢と深みがあり、高級感があるため、高級な和室や茶室などで使用されます。また、ウルシは防虫効果があるため、襖縁を長持ちさせることができます。
一方、一般的な襖縁にはカシュー塗りが使われることが多いです。カシュー塗りは、カシューナッツの殻から抽出された樹脂を主成分とする塗料です。ウルシには劣りますが耐久性が高く、環境に優しい塗料として注目を集めています。また、黒色以外にも色を調合することができるため、自由度の高いデザイン性があるという特徴もあります。
ウルシは乾燥させる際に湿度が必要です。ウルシオールという不乾性油が主成分であるため、放置していても乾燥しません。しかし、湿気を与えることで酵素が働き、ウルシは硬化します。一方、カシューもウルシと同じく不乾性油ですが、乾燥に必要な酵素を持ち合わせていません。そのため、乾燥させるための酵素代わりになるものを添加することで、カシューを乾燥させることに成功しました。
また、カシューの特徴として、塗布後には湿気を与えなくても自然乾燥していくため、ウルシよりも扱いが楽だという点もあります。そのため、一般的にはカシューが襖縁などの建築材料に広く用いられています。
ちなみにカシューナッツの上にできる果実はカシューアップルと呼ばれ、食べられるそうです。