体を張って貢献してくれるすごいやつ

イボタ蝋いきなりですが、これはイボタ蝋と呼ばれる蝋の塊です。

我々は特に表具において襖や障子の敷居に塗り、すべりを良くしたり、軸装の最終段階で裏に塗り、防湿や掛け軸を巻き易くする手助けをしてもらったりに使います。

一般では、ろうそくの原料や木製家具の艶出し、また止血剤としても使われるそうです。

実は、この蝋の成分は虫から取れるものなのです。その名も「イボタロウカイガラムシ」。

そのままの名前ですね。この虫が分泌する白いものがモクセイ科の樹木にモコモコと付着し、枝が真っ白になるほどです。この白いモコモコを採取し精製したものが、上の画像になります。

イボタ蝋の融点は81℃と高く、夏でもベタつかずに使用できます。

カイガラムシの仲間はたくさん存在し、それぞれ蝋やワックス・コーティング剤・色素になるそうです。色素については、深く調べないことをおすすめします☆

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数珠のルーツ

掛け軸表装の最終段階で「裏擦り(うらずり)」と呼ばれる作業があります。内容は軸装物の裏面を数珠で擦るのです。裏擦りについて→「裏擦り(数珠擦り)」

現在、表装で使用される数珠は水晶やガラス製が多いですが、かつてはムクロジという植物の種が使われていたそうです。どんなものなのかというとムクロジの実 外殻

これがムクロジの実です。黒くなってきていますが元は薄い黄緑で時期と共に綺麗な半透明の橙色に変わり、乾燥して黒くなります。

この実は石鹸の代わりとして使われていました。瓶などに水と実を入れ、良く振ると泡立ち、石鹸のように使えます。今でもオーガニック石鹸として洗濯などに使われます。この中に種が入っています。

ムクロジの実種は、ツヤツヤして硬いです。ムクロジの種は、お釈迦様のお言葉の中にも現れ、この種を使った数珠が「数珠の起源」とされています。

また、この種は、お正月の遊び「羽根つき」で使う羽根の先についている玉に使われていました。ムクロジを漢字で書くと「無患子」。子供が患わ無い縁起物です。

さて、この種。穴が開いています。元々は開いていませんが今回、ムクロジの数珠を作ってみたく穴を開けた種を取り寄せました。ただ、正式な数珠は108個の珠で出来ており、今回は50個仕入れたので、この数珠はあくまで表装用になります。

作り方は、ただ種をタコ糸に通すだけなので簡単に仕上がりました。

ムクロジの数珠使ってみると、普段のガラス製に比べ、滑りにくいように思います。もう少し使うと馴染んでくるのでしょう。この数珠は使うほど磨耗していきますので、大切に使っていきたいです。

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過去に私用で作ったもの その2

我々が勉強させてもらっていた京都の表具店が加盟している表具協会では、年に一度、表装の展示会がありました。そこでは各表具店が、普段依頼品に施すような表装とは違う、おもしろさ・楽しさに重点を置いたような少し変わった表装の掛け軸などを展示していました。

この掛け軸も、その展示会に参加させてもらったときのものです。黄桜の河童みたいなのがかわいらしいです。

京都で勉強中、裂地の組み合わせは親方が決められていましたが、この展示会のときは、僕たちが自分で決めなければいけませんでした。親方からアドバイスを言ってもらえるので、トンチンカンな表装になることはありませんでしたが、本紙(河童の絵)しか見えない状態からどのような色・紋様の裂地をもってくればいいのか、そのときは本当に大変でした。

割と、お気に入りですがそんなに評価は良くなかったです。笑

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古糊の水換え

今年も古糊の水換えを行いました。一年経つのは早いです。古糊とは何ぞやという方は過去の投稿をご覧下さい。古糊作り~前編~

何の差なのか、それぞれの甕につくカビ達は三者三様で色んな色をしており、発生の仕方も様々です。環境は、あまり変わりがないので糊の炊き具合の差なのか、菌同士の生存競争に勝った猛者たちが繁栄したのか・・・

今回、一番気にしていたのは去年仕込んだ新しい糊です。一年経ってどのような変化が起きているか楽しみです。予想では、水面がカビでもう大変なことになっていると思われます。

さぁご対面!ってあれ?

 

 

 

 

古糊4まぁ予想外に綺麗なもんで。水面に少しだけカビが出ている程度です。ただ匂いは発酵しているような匂いはしております。一年目はこんなものなんですかね。

古糊5水を入れ替えました。見た目は、ほとんど変わりませんね。これから、どんな変化があるのか。また来年、顔を見るのが楽しみです。

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新年明けましておめでとうございます

如意宝珠

改めて、新年明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、健やかな新年をお迎えのことと思います。

上の掛け軸は昔、京都の師匠のもとで作らせてもらったのですが、本紙は「如意宝珠(にょいほうじゅ)」をこれでもかと描かれたものです。

如意宝珠とは「仏教において願いを意のままにかなえる珠」とされています。これだけあれば夢かなえ放題です。

ところで、表具の裂地でもよく宝珠が描かれています。特に「宝尽くし」という紋様には必ずといっていいほどあります。宝尽くし

当店所有の裂地で宝尽くし紋様を写してみました。たくさんのお宝縁起物が描かれています。

打出の小槌これは打出の小槌です。昔話にも登場し、振ると願い事がかなうというものです。

 

 

金嚢これは金嚢といい、お金を入れる袋です。富の象徴です。

 

 

 

分銅これは分銅です。両替などに使われた分銅ですが、これも富の象徴です。

 

 

巻物 玉これは巻物と玉(ぎょく)と思われます。これも富の象徴でしょうか。

 

 

犀角これは犀角(さいかく)です。動物の犀(さい)のツノです。薬になるようです。

 

 

丁子犀角に似ていますが、これは丁子です。香辛料のクローブです。薬や香辛料に使われますが、昔は原産地が限られていたため珍重されたようです。

 

 

軍配これは軍配です。勝利の象徴でしょうか。

 

 

 

隠れ笠これは隠れ笠と思われます。被ると透明人間になれるというもの。

 

 

宝鑰これは宝鑰(ほうやく)といいます。宝物庫のカギです。

 

 

 

おおまかな、お宝の説明は以上です。わからないものもありましたが、富の象徴が多いですね。あとはドラえもんの道具みたいなものがチラホラ。宝尽くし紋様は必ず決まった組み合わせはないようで、違う組み合わせもありますし、違うお宝紋様もまだまだあります。表具関連以外でもよく使われる紋様なので、これは何、あれは何と探してみてはいかがでしょうか。

最後に、今年も表具 加勢田芳雲堂を何卒宜しくお願いいたします。

また皆様にとりまして幸多き一年となりますよう心からお祈り申し上げます。

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年季の入った障子に要注意!

師走となり今年も残すところ僅かとなりました。大掃除をしていく中で今年のうちに障子を張り替えようという方もいらっしゃるかと。

障子の張替えで、あまり語られないのが障子建具の角度です。これは特に年季の入った建具・建物(お寺さんや昔ながらの民家など)に言えることですが、経年で建物が傾いてきた場合、障子と柱の間に隙間ができます。

 

障子

 

 

また、建物に傾きがなくとも和紙をめくられた古い障子が傾く場合もあります。傾いた障子

これらの傾きによる隙間は、建具を一つひとつ調整しながら和紙を貼っていくことである程度、解消することができます。建具が傾くこと、建物が傾いていることに気づかずに和紙を貼った場合、最悪こんなことになるわけです。

 

傾いた障子2

障子の張替えといえども、侮れません。皆様お気をつけ下さい。

当店でも障子の張替えを承っております。が、年末になると依頼が増えますので早々に障子の張替え、ご依頼していただくとありがたいです。

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過去に私用で作ったもの その1

3年前、衝動的に藍染体験をしたくなり、奈良大和郡山にある『箱本館「紺屋」』さんで体験させていただきました。その時のご縁でイベントに参加させてもらったときの掛け軸です。

参加者は2色の藍染された布をいただき、自由に作品を作り出品することになっておりました。

当店は2幅の掛け軸を作り、その一つがこちらになります。大和郡山は金魚が有名ですので、朱白の柄がある着物を切り取り、金魚に見立て掛け軸に組んであります。そして、金魚の目先に「かすり」の着物で波紋に見立てた細工をし、金魚が水面に落ちたものを見に行くような景色を作りました。そして、掛け軸の右下には金魚の様子を眺める何者かの姿が・・・

『箱本館「紺屋」』さんは事前に予約が必要ですが、手軽に藍染体験が出来、オリジナルの藍染作品を作れます。伝統ある染め物に触れてみてください。

『箱本館「紺屋」』さんサイト http://www.hakomoto.com

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金砂子細工を実施

今回、金箔をパラパラと散らした装飾「金砂子細工」を行う機会がありました。普段の修復では金砂子が活躍することはほぼありませんので、久しぶりに行いました。

画像で見えている竹筒に金箔を入れてパラパラと箔を散らしていきます。網目によって散らす箔の大きさが変わります。上部の竹製のピンセットは金箔を扱うときに使います。

金砂子細工では、まず膠を細工する場所に塗ります。

十分に塗った後、金箔を入れた竹筒を振り、箔を散らします。どの程度箔を散らすのか、よく見ながら振ります。その後、薄い和紙などを上に静かに敷き、抑えます。

一回目は、このくらいになりました。乾燥後、更に足す場合は同じ工程を行います。

二回目に箔色を少し変えて振りました。今回は、この程度で終わりました。

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屏風などの下地作り~蓑貼り~

骨子張り・胴貼りと下地作りをしてきたものに、蓑貼りを行いました。この作業の名前は仕上がった形が雨具の蓑に似ていることに由来します。

ちなみに皇室関連施設の襖には8枚や12枚も重なった蓑掛けがあります。

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屏風などの下地作り~骨子張り~

屏風や襖などの下地作りは、木で作られた枠【框(かまち)】と組子から成ります。そこに和紙を貼り重ね作ります。框と組子を合わせたものを「骨子」といいます。「骨」と呼ばれることもあります。

下地作りは大きく分け【骨子張り】⇒【胴貼り】⇒【蓑貼り】と工程が分かれます。今回は、最初の骨子張りを動画にしました。この作業で骨子が動くことがないように固定していきます。

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